concept

地域デザイン研では,以下の3点を重視して研究と実践に取り組んでいます.

■より成熟し,持続可能性の高い地域を実現するための研究と実践
■「地域らしさ」を新しい視点で提示する方法論の構築
■マルチスケールで時空間を横断した分析とデザインへの応用

■より成熟し,持続可能性の高い地域を実現するための研究と実践
 
 日本は人口減少・少子高齢化や地球温暖化に伴う自然災害の激甚化など,さまざまな課題を抱えています.そうした中で,単にわかりやすい成長や人口増,にぎわいだけを目指すのではなく,より成熟し,持続可能性の高い地域を目指していく必要があります.

 特に,人口減少や自然災害の激甚化などの対応については,世論形成や政策立案などが難しい状況になっています.それは各地域によって同様の事象と個別な事象が混在していることを分別することが難しいこと,また専門家を含めてまだまだ現状への解像度が粗く感情的な議論になりがちであること,などが要因として挙げられます.国全体で人口減少,一極集中が進行する中で,人口減少を踏まえながらも持続可能性を鑑み,成熟した市民・住民活動が主体的に展開することが必要だと考えています.

 そのために,研究によって,地域の持続可能性についての視点を提示するとともに,設計活動や実践によってそのプロセスを可視化していくことを目指しています.

■「地域らしさ」を新しい視点で提示する方法論の構築
 

 地域づくりやまちづくりを行ううえで,その「まちらしさ」「地域らしさ」を追求することが多いです.しかしながら,若者の自分探しによって自分らしさが見つかるとは限らないのと同様,地方都市や集落にとってのその地域らしさをわかりやすく提示することは難しいといえます.

 わかりやすい地域らしさは,まちのシンボルや観光資源として活用されます.しかし安易に消費されることで地域を疲弊させてしまうこともあります.また,地域住民の方にも気づかれないような地域らしさもあります.そうしたものを観察分析を通して提示していきたいと考えています.

 文化的景観にみられるように,眼前の美しい地域らしい景観は,さまざまな人々の生業や気候や地形などが相俟って構成されていることが多いです.私たちはそのような「目に見える現れとしての景観や情報」を観察しながら,その景観が生まれている構造や要因について様々な視点で提示することを目標としています.

■マルチスケールで時空間を横断した分析とデザインへの応用

 地域の持続可能性や地域らしさを提示していくためには,時間・空間の双方で複数のスケールで観察・分析することが必要になってきます.そして複数の時空間スケールで捉えたものを統合して政策やデザイン,実際のまちづくりの動きなどへの展開可能性を模索していきたいと考えています.